今回はちょっと真面目に、先日思ったことを。
7月15日(月)、「はこだて科学寺子屋」というセミナーに行って来ました。
2050年の函館について考えようというワークショップで、今回のテーマは「未来の食卓」ということでした。
セミナーは3日間。最初の2日間で講義・ディスカッション・グループワークを行い、3日目にその成果を発表するという構成です。
どういったイベントなのかよくわからないまま、知り合いに誘われて3日目のみ参加したのですが、感想はと言うと、率直に申し上げてひどいレベル。あまりのダメさ加減に「函館の未来は大丈夫なのか?」と心配になってしまいました。^^;
私は先生ではありませんし、そういった方面の専門家でもないので、あくまでもド素人の個人的な感想ですが、函館の未来を思う一市民として、嫌われるのを覚悟でコメントしたいと思います。
私が参加したのはセミナーの第3日目。
1日目と2日目のまとめとして、函館の未来の食卓を豊かにするにはどうしたらいいかが参加者から発表されました。
発表内容は「安心・安全」「食育」「農業・漁業体験」「レシピの共有」「コミュニケーションの場としての食卓」などなど。
どの発表もどこかで聞いたことのあるような内容だったり、ちょこっと考えれば出て来そうなアイデアばかりでした。
まぁ、どれだけ自分の頭でしっかり考えたのかという問題はあるにしろ、こういう答えが出てくるのは仕方がないのかなぁと思いました。内容そのものもそれほど悪いものではありませんでした。
では、何が気に入らなくて「ひどい」と申し上げたのかといいますと、それは参加者のほぼ全員が、現在自分が感じる問題点について論じていただけで、「2050年」「未来の食卓について考える」という部分が完全に欠落していたということです。
今現在の私たちの食卓について考えることは確かに重要なことです。
しかし、イベントとして「2050年・未来の食卓について考える」というテーマを設定しているのですから、未来を見据えて問題提起をするという姿勢が必要だったと思います。
それは、「今から始めても、結果が出るのは2050年くらいになります。」ということではありません。
現在の食卓を考えるのと、未来の食卓を考えるのと、
現在の延長が未来なんだし、別にどっちでもいいんじゃない? と思われるかもしれませんが大いに違います。
どう違うのか、ド素人的な観点から具体例を挙げますと、
近年、温暖化の影響によって海水温が上昇しています。このせいで函館沖で獲れる魚介類の種類や量に変化が出て来ています。
このままのペースで海水温が上昇すれば、2050年の函館の海の中の事情はどうなっているのでしょうか。
函館の名物であるイカが獲れなくては、イカ刺し・いかめし・松前漬けなどの郷土料理は消えてなくなっているかも知れません。
だ・か・ら、、、
そうならないように環境を守ろうとか、養殖技術を研究しようとか、遠洋で獲れた魚を新鮮なまま運ぶ技術をみがこうとか、
そこから先どういう提案をするかは様々だと思いますが、
未来に起こりうるであろう事態・背景を学び、それに対して自分たちはどうしたいのかということを問う必要があったのだと思うのです。
そうすれば、食文化を守ろうとか、食育って大事だよねとかいう誰でも言えちゃうありきたりな提案も、より深いところから論じることが出来たのではないでしょうか。
温暖化の問題はあくまでも一例です。
社会の高齢化や世界経済の問題、IT・科学技術の進歩など、この小さな街に住む我々の食卓に将来影響を与えるであろう要因はたくさんあると思います。
実際、中国やアフリカの経済発展により函館の魚屋でナマコを見ることは少なくなり、数の子も値上がりしているなど、すでに食卓の変化は起きつつあります。
今回のセミナー参加者は、一般の方もいたものの、その多くは学生でした。
単位をもらうために、特に問題意識もなく出席したのかも知れません。
先生としても、イベントとしてお祭りのような軽いノリだったのかも知れません。
しかし、函館に住む人間としてはもっとしっかりとこの街の未来を考えてもらいたいと強く思った一日でした。
(つづく)